基礎編

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基礎理論(その9)判例解析の手順

 判例解析を次の手順で行うことにする。 (1) 判例の特定  判例の特定は、裁判所の裁判、裁判日及び事件番号でなされる 1) 裁判所の裁判と事件番号 「最高裁……第三小法廷判決」を「最(3)判……」と略して記入する...
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基礎理論(その8)--判例解析で求められるもの

 法律問題は、法を事実に適用することによって解決する。この場合法律条文がある場合は、法律条文に従って、その要件に個別の事実が充足されるか、包摂されるかどうかを検討し、それが認められる場合には、その条文の効果を決定していけばよい。したがって...
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基礎理論(その7)--条文適用と法的対話性

条文を適用する場合、相手方がいることが一般的である。原告Xに法的請求する言い分があるとしても、請求される被告Yにもそれなりの言い分がある。 否認・ 不知  まず、Yの不法行為自体が成立した事実はないとして、Xが主張する事実を...
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基礎理論(その6)ーー条文の事実への適用

 XがYに損害賠償請求権を有するための根拠条文について明らかにしたが、それだけでは損害賠償請求権という具体的な法律効果は発生しない。全ての要件を充足する事実がある場合にはじめて、損害賠償責任をYに負わせることができる、という法律効果が発生...
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基礎理論(その5)--民法条文と要件・効果

 条文を適用しようとする場合、要件を条文から抽出しなければならない。例えば、Yが運転する自転車と歩行中にXがぶつかり、打撲傷(治療費5万円)を負った場合に、XがYに損害賠償請求しようとする場合を考える。この場合、被害者Xは何を主張(そして...
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基礎理論(その4)ーー民法条文の構造と法的三段論法

条文を適用するためには、法的三段論法に従う。  大前提である条文は、基本的に「Aという(大)要件を満たしたならば、Bという法律効果が生じる」という構造になっている。 法的三段論法  大前提: A ーーー> B【条文】(要件) ...
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基礎理論(その3)-訴訟物

(1) 総論 訴訟物は民事訴訟等の裁判の対象となる法的な権利または法律関係であることを前回見てきた。また「判例解析」において、座標軸の原点に該当するものなので、この訴訟物がしっかり把握されていないと、解析自体、不十分なものとなってし...
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基礎理論(その2)-民事紛争と民事訴訟

 判例解析をするための基礎理論をこれから数回に分けて解説する。 (1)私人間の法律紛争 判例解析をする対象である民事判例は私人間の民事紛争を扱う。私的な法律関係において、一般人である私人同士での法律紛争にはいろいろな種...
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基礎理論(その1)

「判例解析」とは  民事判例について勉強しようとすると、事実関係を調べ、そして結論である判旨に飛び、さらに類似判例を調べたり、学説を調べたりすることが一般的ではないか。研究者や実務家もこのような方法をとるだろう。このような勉強方法は...