§177

総則

最判平成23.01.21(平成21年(受)第729号)

はじめに 賃借権もその要件をみたせば時効取得することは当然である。また賃借権が第三者に対抗するためには、§605の賃借権の登記または借地借家法10による、借地上建物の保存登記を備えなければならない。そうすると、後者の対抗要件を具備しなくても...
物権法

最判平成24.03.16(平成22年(受)第336号)

はじめに 取得時効完成後の第三者が所有権移転登記を具備した場合は、占有者は時効取得を第三者に対抗することができない。再度占有者が占有継続して取得時効完成した場合、第三者に登記がなくても時効取得を対抗することができる。つまり再度の取得時効完成...
物権法

最判平成08.10.29(平成5年(オ)956号)

はじめに 「第三者」(§177)は、「登記欠缺を主張する正当な理由のある第三者」であることは確立した判例である。そしてこの「第三者」の範囲に背信的悪意者が含まれないことも、また判例で認められている。そうであるならば、二重譲渡で背信的悪意者か...
物権法

最判平成18.01.18(平成17年(受)144号)

はじめに 「時効完成後の第三者」と時効完成した占有者との間ではいわゆる「対抗関係」となり、先に対抗要件を具備した方が確定的な権利者となる。たいていは「時効完成後の第三者」が先に対抗要件を具備することから、彼が時効完成した占有者の登記欠缺を主...
物権法

最判昭和46.11.05(昭和42年(オ)468号)

はじめに 民法では、意思表示のみで物の所有権が移転する(§ 176)。「一物一権主義」が厳守されるならば、第1譲受人に所有権が移転すると、第2譲受人は登場しないはずである。しかし我が国の法制では、第2譲受人の存在を肯定しつつ、譲受人間での所...
総則

最判昭和42.07.21(昭和40年(オ)1270号)

はじめに 時効制度、特に取得時効の制度趣旨として、「権利に眠る者を保護しない」制度とか、「長期間の事実状態を是認する」制度とか説明されることがある。そうすると、被害者たる本来の権利者を「権利に眠る者」として非難するのは場合によっては酷であり...
担保物権法

最判平成10.01.30(平成9年(オ)第419号)

はじめに 抵当権の目的物である建物等が賃貸されたことによる賃料債権が物上代位されることは、最判平成元.10.27でも認められたところである。ところで物上代位の対象である賃料債権が譲渡された場合、物上代位は可能だろうか? つまり債権譲渡は「払...